前回は、ホワイトエッセンスにお勤めの歯科医師、大河原典果先生に歯のメンテナンスについて詳しく説明していただきました。
今回は、メンテナンスをすることによって、その人の人生にどのような影響を与えるのか、日本と歯科先進国であるスウェーデン、アメリカと比較してより詳しくお話して頂きます。
▼第1弾はこちら!
【現役歯科医師に聞く!】80歳までに歯が8本に減る!?いつまでも健康でいるためのメンテナンス【第1弾】
昔は歯周病大国だったスウェーデン
スウェーデンは予防歯科の先進国として知られています。予防歯科の分野では、スウェーデンと日本がよく比較されますが、昔はスウェーデンも虫歯や歯周病で歯を失う人が多く、日本と同じ状況だったそうです。
そういった状況の中、1970年代、スウェーデン政府は予防歯科を推進する取り組みを始めました。国民全員に、歯科の定期検診や歯のクリーニングを受けることが義務づけたのです。一方日本では、予防歯科の推進よりも治療をする歯科医師を増やす方針がとられました。
そして、20年後。
スウェーデンでは、虫歯や歯周病が激減し、80歳の時点では平均20本も残るようになりました。治療をする歯科医院は増えたものの、メンテナンスが習慣化されていない日本とは天と地の差です。
ちなみに、80歳になった段階での歯の平均本数は、日本人は約8本。対して、スウェーデンは約20本、アメリカは約17本だそうです。
日本人は歯医者の受診率が低い!?
予防歯科には、月にどれくらいの人が受診しにくるのでしょうか。
日本人の1ヶ月におけるメンテナンス受診率は5%以下。なんとも残念な数字です。
予防歯科の先進国で知られるスウェーデンは、国民全員が歯科の定期検診や歯のクリーニングを受けることが義務づけられています。なんと、1ヶ月に国民の90%の人が歯医者に行っているそうです。19歳までは100%というので、驚きですね。一方、アメリカでは年収400万円以上の層で80%です。
この数字だけを見ても、日本人がどれだけ歯に対しての意識が低いか分かります。
日本人は歯にお金をかけない
日本の治療費は安すぎるために、診療時間は短くなり、治療の質が低下することが大きな問題と言われています。高い技術を十分に時間をかけ、患者に提供してくれる歯科医院を探すのが大変難しくなっているそうです。
また、歯科医院でかかる金額は保険診療代であるため非常に安く、歯の予防にお金を使うという感覚がないというのも問題と言われています。歯にかける日本人1人あたりの1年間の支出は、美容室1回あたりやフィットネスクラブ会費より少なく、また、高校生の1か月分の小遣いよりも少ないというデータも出ています。
歯が8本しか残らないのも、うなずける結果です。
クオリティ・オブ・ライフの向上を
歯のメンテナンスを継続することで、QOL(Quality Of Life)が向上し、長期的に豊かな人生を送れる要因のひとつになるそうです。
おいしく食事ができるだけでなく、よく噛むことで脳の神経にアプローチし、記憶力やボケ防止に効果的だと言われています。若いうちから歯をしっかり予防しておけば、老後の人生をより楽しく過ごすことが出来るのです。
メンテナンスにお金をかけずに、治療にお金をかけて歯を失っていくか、メンテナンスにお金をかけて歯を残していくか。前者の習慣が日本であり、後者の習慣が欧米諸国であるのが現状です。生涯歯を残し、健康に過ごすために、予防することに勝る治療はありません。
いつまでも若々しくいるために。好きなものを食べれるように。今から少しずつ、準備を始めることが重要なのです。
(編集・執筆:サムライト)