毎日何気なく磨いている歯ですが、皆さんは正しく歯を磨けていますか?
正しい歯の磨き方や磨き方の手順、というのは世間に溢れていますが、歯科医が本当に教える正しい磨き方とは、どのようなものなのでしょうか。今回は、ホワイトエッセンスにお勤めの歯科医師、大河原典果先生に歯の磨き方を徹底解説していただきました。
歯周病になりやすい人、虫歯になりやすい人、子どもなど、症状や年齢によっても適したブラッシング方法が違うそうですが、今回は「バス法」という最も一般的なブラッシング方法についてご紹介して頂きます。歯垢の除去に優れ、歯周病予防に効果的というこの磨き方、いったいどういうものなのでしょうか。
1. 歯ブラシの角度は45度
歯垢(細菌の塊で、プラークともいいます)は歯と歯肉の境目につくので、この場所をめがけて歯ブラシを当てます。歯ブラシの毛先が、歯と歯肉の境目に45度の角度になるようにしましょう。歯と歯肉の境目には約3ミリの溝があるのですが、そこに毛先を確実に当てることがポイントだそうです。
歯と歯肉の境目に毛先が確実に当っていなければ、この後の手順を踏んでも効果はあまりないと言っても過言ではありません。
自分では歯磨きをしているのに歯医者さんで「磨けていませんね」と言われるのは、歯垢にきちんと歯ブラシが当たっていないのが大きな原因です。まずは、歯と歯肉の間にしっかりと毛先を当てましょう。
2. 歯ブラシを「振動させるように」磨く
毛先が歯と歯肉の境目に当たっているのを確認したうえで毛先を動かさず、歯ブラシのヘッドを小さく約10~20回(できれば20回)振動させます。
毛先を動かさずに振動させるというのがポイントです。
のりか先生からワンポイントアドバイス!
力を入れ過ぎないように、鉛筆を持つような持ち方で優しく磨きましょう。
鉛筆で字を書く時の強さ(200~300g程度の力)が適切です。強い力でゴシゴシするのはNGです。
歯ブラシの毛先が当たっていれば歯垢は落とせるので、力で落とそうとするよりも当て方を意識します。
3. 磨きにくい場所は歯ブラシを立てて!
次に歯ブラシを1歯分移動させて1,2の過程を繰り返します。
歯ブラシのヘッドの大きさは約奥歯2本分なので、2本ずつ磨いていくことになります。1歯ずつ移動させて磨くのがポイントです。
前歯の内側(舌側)や犬歯のあたりの内側はカーブがきついので、歯ブラシを立てて、ヘッドのかかとの部分を歯と歯肉の境目に当て、1歯ずつ磨きましょう。
のりか先生からワンポイントアドバイス!
磨き残しを防ぐため、8の字で一筆書きになるように連続的に全体を磨きます。
例えば、右下奥歯の外側(ほっぺた側)→下前歯の外側→左下奥歯の外側→左下奥歯の内側(舌側)→下前歯の内側→右下奥歯の内側→右上奥歯の外側→上前歯の外側→左上奥歯の外側→左上奥歯の内側→上前歯の内側→右上奥歯の内側、という具合です。
清掃補助用具を使用しよう!
歯により歯垢を残さないようにするためにも、フロスや歯間ブラシなどの清掃補助用具を使用しましょう。
実は、歯ブラシだけのブラッシングでは、歯垢全体の58%しか除去できないという報告があります。歯ブラシに加え、デンタルフロスを使用すると86%、歯間ブラシを使用すると95%の歯垢が除去できます。
つまり、歯ブラシだけでどんなに頑張って歯を磨いても、「歯を磨いた」とは言い難いのです。
1日3回適当に磨くよりも、1日1回しっかりと
「歯磨き」と言えど、きちんとした磨き方をすると5~10分ほど時間がかかります。忙しい現代人に朝、昼、夜と歯磨きだけに10分という時間をかけるのは、ほとんど不可能と言えるでしょう。
虫歯や歯周病は1日ではできません。従って、1日3回適当に磨くよりも、1日1回、今回お話した磨き方で確実に磨くほうが、歯周病予防、虫歯予防には効果的なのです。
朝、昼は食後簡単に磨き、夜はバス法と清掃補助用具でしっかり磨くのがお勧めです。朝昼に磨く時間がない人は、うがいだけでも効果がありますので、試してみてください。
1日1回、丁寧な歯磨きを
歯ブラシを当てる角度、力加減、磨く順序や使う道具など、まだ試したことがない歯磨きの仕方があったのではないでしょうか?
目をつぶって磨くのも、一本一本の歯に集中できて良いみたいですよ。
1日の終わりには、ゆっくりと時間をかけて、お風呂に入って1日の疲れを落とすのと同じように歯を磨きましょう♪