虫歯で苦しんだのは子供の頃の遠い思い出。いえいえ、20代後半からまた新しい虫歯の波がくるんです。
25歳からの虫歯がある
20歳代の後半から目立ってくるのが、歯と歯肉の境目にできる虫歯です。
歯周病、またはゴシゴシ強くハミガキすると歯ぐきが下がってきて、象牙質が露出!象牙質はエナメル質よりも酸に弱く虫歯になりやすいのです。虫歯は食べ物に含まれる糖分だけでは発生せず、口の中に存在するミュータンス菌が虫歯発生に大きな役割を持っています。
ミュータンス菌は感染症です。ほとんどの日本人が感染しています。ミュータンス菌は歯面に強烈に付着する性質を持っており、付着性のない細菌達もミュータンス菌を足掛かりにして、次から次へと歯面に付着していきます。そして、細菌同士スクラムを組んだ固まり=バイオフィルムを形成します。困ったことに、このバイオフィルムはハミガキや薬品では破壊することができないのです。
バイオフィルムという強力なバリアで守られた細菌たちは、糖分と化学反応をして、歯を溶かす酸を産生します。まず、歯の表面にあるエナメル質を溶かし始め、エナメル質の下まで被害が達すると、酸に弱い象牙質が急速に溶け始めて、虫歯が早く進行します。
むし歯予防にとって大切なことは4つです。
・ミュータンス菌に感染させない。
・バイオフィルムを破壊する。
・糖分の摂取を控える。
・フッ素で歯質を強化する。
以上の4つについて、ご家庭でできることと、ホワイトエッセンスがお手伝いできることを次頁から詳しくご説明していきます。
虫歯予防の秘伝1
歯を磨かないのも、磨き過ぎるのも虫歯のもと。さて、どうしたら虫歯予防ができるのでしょうか?
我が子ミュータンス菌に感染させるな!ミュータンス菌を減らす新技術
ハミガキなんて1日一回、10秒程度シャカシャカして、ハイオシマイ!生まれてから一度も虫歯になったことがない!という人もいます。実は虫歯ができない日本人が約3%存在します。虫歯原因菌のミュータンス菌が無い人です。
ミュータンス菌は伝染病で、母親がキスしたり母親がくわえた指や哺乳瓶などから感染します。だから、
・親が噛み砕いたものを子供にあげない
・哺乳ビンの吸い口に親は口をつけない
・親の口をつけた箸で子供に食事を与えない
・子供の歯ブラシを親の口に入れない
これを実践すればミュータンス菌に感染しません。2歳位になると様々な菌がバランスを保とうとして、新しい菌を受け入れない習性を持つようになります。ですから2歳までが勝負です。しかし、乳児期に一度ミュータンス菌に感染してしまうと、負の遺産として一生付いて回ります。ミュータンス菌はハブラシを一生懸命しても一向に減りません。
「歯科ドック」では、ミュータンス菌の数を調べ、虫歯になるリスクを判定することができます。ミュータンス菌の数が多い場合は、いくらハミガキをしても虫歯になりやすくなります。これまでは、ミュータンス菌の数を減らすことが不可能といわれていましたが、また、「3DS」という方法が近年発明され、ミュータンス菌をクロロヘキシジンという薬剤で減らしていくことができるようになりました。
ハミガキとプロフェッショナルティースクリーニングで、バイオフィルムを破壊する
「バイオフィルム」は、菌が産生した粘液状の隠れ家の中で、細菌がコロニーを形成した状態をいいます。イメージ的にはビニールハウスに守られた中で、ぬくぬくと細菌達が気持ちよく居座っている状態です。
バイオフィルムはむし歯だけでなく歯周病の原因にもなります。バイオフィルムを退治するには、抗菌剤などの薬剤では歯が立たちず、機械的に破壊して除去するしか方法がありません。したがってハミガキでバイオフィルムを掻きだすことが基本ですが、ハミガキって簡単なようでかなり難しいんです。特に歯と歯の間とか、歯と歯茎の間など、どうしても磨きの残しが出やすいんです。バイオフィルムは少しでも取り残しがあると、すぐに増殖し始めるので、完全に除去することが大事です。
そこで登場するのが、PMTC(プロフェッショナル・メカニカル・ティース・クリーニング)。PMTCとは「継続的な感染予防のための専門家による機械的な口腔清掃」で、ハブラシでは完全に取り除くことが難しいできない、バイオフィルムを除去する事ができます。現時点では、「予防最強の武器」と言われ、欧米では以前から力を入れており、大変大きな効果をあげています。
虫歯予防の秘伝2
糖分の摂取を控える。それでも甘いものが好きな人へ
「歯は鉄よりも硬い材質」だということは知っていますか?
歯は本来かなり頑丈にできているのです。私たちの口の中は、ふだんは中性ですが、食べ物に含まれる糖分を虫歯菌がエサにして、せっせと酸を作くります。歯が酸性になると、脱灰状態に入ります。「脱灰」というのは、歯からカルシウムやリンなどのミネラル分が溶け出すことです。強力な酸性雨で、森の木が枯れたり、家の屋根のトタンが腐ってきたりするようなものです。このときに威力を発揮するのが、だ液です。
だ液には、「緩衝能」といって、酸性に傾いた口の中を中性に戻し、溶け出した歯を元に戻す力、「再石灰化」が備わっています。
しかし、唾液の分泌量が少なかったり、唾液の緩衝能力が低下していたりすると、この機能が上手く働きません。ちなみに歯科ドックではこの唾液の緩衝能と分泌量を調べることができます。とにかく歯を酸性化させないために、おやつや糖分の入った飲み物を含めて間食をなくすことが一番です。それでも、甘いものが無いとストレスになる人には、虫歯菌のエサとなる砂糖の取り方を変える方法もあります。
虫歯予防のガムにキシリトールと言うのがあります。
キシリトールは天然素材の甘味料でシラカバを原料にして生産されています。私達の身近なところではイチゴ、ラズベリーや、レタス、ほうれん草、カリフラワーにも含まれています。甘さは砂糖と同じでカロリーは25%低いのです。
フッ素で歯質を強化する
フッ素には歯を強化する働きがあります。フッ素はお茶の葉や海産物に多く含まれています。フッ素は歯の表面に塗るとハイドロキシアパタイトという成分とくっつき、酸に抵抗のあるフルオロアパタイトを形成し、エナメル質の酸への抵抗力を強める働きがあります。エナメル質はいったん強くなると、簡単に酸に溶けることはないのでフッ素を使った歯質強化をすれば虫歯になりにくくなります。
また、フッ素は糖分に強いことが、アメリカの実験で分かっています。1945年にミシガン州で虫歯予防を目的に、水道水にフッ素が添加されて57年が経ちました。現在アメリカの子供のむし歯の数は2本。砂糖の量をアメリカの半分しか摂っていない日本では5本。いかに砂糖に対してフッ素が強いのか分かります。
さらに、フッ素には知覚過敏にも効果があることが分かっています。
フッ素の使用は低濃度のものを家庭で長期間継続して使用すること重要です。また年2回、高濃度のフッ素と組み合わせることで、さらに効果が高くなります。
21世紀からのむし歯予防
自分に合った最適の虫歯方法を知る『歯科ドック』
歯科ドックは、
・一生懸命ハミガキをしているのに虫歯になる人
・虫歯予防に関心があるが、どうすれば良いのか分からない人
・自分の子供を虫歯にしたくない人
のために、科学的な方法で虫歯の原因を調べます。
虫歯は、個人それぞれに合わせた予防方法を実践すれば、ほとんど予防できます。歯科ドックでは、カウンセリングや唾液検査等から虫歯菌の量や虫歯に対する抵抗力を調べて、虫歯になる可能性を診断し、あなたに最適で効率の良い虫歯予防方法をレクチャーします。
21世紀の虫歯予防「3DS」
3DSとは(デンタル・ドラッグ・デリバリーシステム)の略で、口の中にある善玉菌を殺さずに、悪玉菌で虫歯の原因であるミュータンス菌にねらいを定めて、菌の数を減らし、かつ再び菌が歯面に付着するのをふせぐ画期的な方法です。
・これまで虫歯で苦しめられてきた人
・歯科ドックの結果ミュータンス菌が多かった人
・詰め物や被せ物の歯が入っており、歯との接着面から2次的に虫歯になるのが心配な人
・これから矯正をする人(矯正装置によりハミガキが難しくなる)
・これから子供を作る、または乳児のお子さんをお持ちのお母さん(子供にミュータンス菌を感染させない)
正しい歯磨きのコツ
毎日みがいている歯。でも悪くなる歯。もちろん、私たちは頑張ってブラッシングしている!しかし実際に、多くの人のブラッシング方法が少し間違っている、雑である、正しく理解していない。次の4つが実行できれば、間違いなく歯と歯ぐきは良くなる!
理解は簡単だが実行がなかなかムズカシイ。つい無意識で、いつも行っている方法に戻ってしまうからですね。
歯は十分意識してみがきましょう!
1) ヘッドの小さなハブラシを選ぶ
ハブラシのヘッドの大きさは小型なものの方が良いです。小回りがきいて磨きやすいからです。毛の硬さは普通の硬さのナイロン毛が最適です。硬い毛は歯や歯肉を傷つけることがあります。歯肉の炎症が強い場合は最初は柔らかめのものを使用し、炎症が治まってきたら普通のものに代えるようにしましょう。
2) ハブラシは鉛筆を持つような握り方で、力を入れずに磨く
ハブラシをしっかり持ってしまうと、奥歯まで磨けません。また、強い力でゴシゴシすれば、毛先は倒れてしまい、歯垢がとれません。更に、歯ぐきや歯の根を傷つけてしまい、そこから歯周病にもなりかねないのです。
3) 鏡を見ながら磨く
ハブラシをしっかり持ってしまうと、奥歯まで磨けません。また、強い力でゴシゴシすれば、毛先は倒れてしまい、歯垢がとれません。食器を洗う時、見ないで洗う人はいません。お化粧をする時、大抵の人は鏡をよく見ます。
ぜひ大きな口を開けて自分の歯の状態を見ながら、みがいてみて欲しいです。歯は平べったい板ではありません。丸くなって歯ブラシのあたりにくい所や、くちびるにおおわれてブラシが届かない所などを、すぐにでも発見できるはずです。そこに歯垢がたまるのです。特に、歯と歯ぐきの間や歯と歯の間は、ボーゼンとみがいていては、そこに毛先はあたらず、ネバネバとくっついている歯垢は落とせません。
4)小刻みにみがく
多くの人が、ブラシを動かす距離が長すぎます。距離は5mm程度(歯1本分くらいの幅)の細かい往復運動が一番歯垢がとれやすいのです。いっぺんにみがこうとして、大きく動かしても、結局はダメ。かえって手間もかかり、効果も上がらず、時間もムダになってしまいます。
おわりに
何歳になっても、虫歯にはなりたくないものですよね。大人の虫歯は子どもがなる虫歯とは少し性質が違うので、それにふさわしい対処が必要です。ここで紹介している方法を早速実践してみましょう。