虫歯にならないために、毎食後はきちんと歯を磨こうと、小さな頃から親や学校の先生たちからよく言われてきたと思います。日本では、幼児期のうちは学校などで定期的な歯科検診がありますが、どうしても大人になると歯医者に通うのが億劫になる人も多いですよね。
ですが、今放置している「虫歯」こそ、最悪の場合、死に至るケースもある恐ろしい病気なのです。取り返しのつかない大病へと進化する前に、今回は虫歯のことを一緒に勉強していきましょう。
虫歯が原因で死亡!?体を蝕む魔の病気
実際に、虫歯が原因で恐ろしい病を発症してしまったケースもあります。
2014年、イタリアのシチリア島在住の少女(18)が、急患として病院に運ばれました。それから1週間後、容態が悪化し少女は息を引き取りました。敗血症を起こしたことが彼女の死因だったのですが、敗血症の原因はなんと虫歯だったのです。
アメリカでも同様の悲しいケースが起きています。貧困に悩む黒人の少年(12)は、適切な虫歯の治療を受けることが出来ませんでした。ひどい歯痛を訴え病院を受診、2度の手術を受けたものの、彼の命は救われませんでした。「虫歯」が原因で菌が脳にまで周り、手術の甲斐なく息を引き取ったという痛ましい出来事です。
このように、世界各国では適切に虫歯の治療が受けられず、最悪の場合は命を落としてしまったケースも少なくありません。
虫歯を放置すると・・・
日本では、成人の90%の人が虫歯、あるいは治療済みの歯がある状態であると言われています。しばらく歯医者に行っていないあなたの口の中にも、知らない間に虫歯が巣食っているかもしれません。
STEP1. 歯がしみる
超初期の虫歯は、定期的に歯科を受診している人でないと自覚症状はほぼ皆無と言われています。
一般的には、歯がしみたり、若干の違和感や痛みを感じることで、虫歯だという自覚を持つ人が多いそうです。この段階で治療を受ければ、ほぼ問題はありません。
虫歯が完治した後は定期的な検査を受け、必要に応じて歯石の除去やクリーニングを行うことで、健康的な口内環境を維持できます。
STEP2. 歯が溶け始める
虫歯の治療を放置していると、虫歯菌はどんどん歯の深い部分や神経にまで到達します。こうなってしまうと、強烈な痛みをともなうだけでなく、大事な永久歯を抜歯しなくてはならなくなります。
また、虫歯菌によって硬いはずのエナメル質を溶かし、やわらかい組織の象牙質に虫歯が進みます。その後、歯の神経まで感染が進むことになります。また、虫歯そのものは口臭の原因ですので要注意です。
STEP3. 発熱する
さらに虫歯を放置すると、歯の激痛や体の発熱といった症状が現れます。あまりの激痛に耐えられないという人もいるでしょう。
虫歯菌が歯を通り越して、顎の骨にまで到着したことで骨髄炎を引き起こしてしまったということも考えられます。これらの症状に加え、口内には膿がたまり、いくら歯を磨いても口臭がとれないといった症状が現れます。顎の骨にまで虫歯菌が進行してしまうと、治療方法は、歯茎にメスを入れ、顎の骨を切除するという大手術になってしまうことも。
痛みが続いても虫歯を放置しておくと、ある日突然痛くなくなったりすることがあります。「治ったのかな?」と思いがちですが、実はそれは、虫歯菌が痛みを感じるはずの神経まで侵食してしまったということなのです。
STEP4. 体の病気を発症する
口内環境は、すでに最悪な状態へと達しています。この時点で歯科を受診すると、虫歯の治療以外にも他の疾患が見つかるケースも多くあります。
虫歯菌がすでに全身を巡ってしまい、心筋梗塞や脳梗塞の予兆を起こしていてもおかしくはないレベルです。他の細菌性の病気や、基礎疾患に糖尿病や腎臓病を抱えている人は、持病が悪化するケースもあります。このように、虫歯を治療しなかった事が原因で、様々な全身の病気を発症してしまうことがあります。
STEP5. 死に至る可能性が高まる
もし全身に何かしらの病気を発症していても、まだ治療を行わなかったとします。この場合、もはや虫歯の治療だけで全ての病気が治るということはないでしょう。最悪のケースでは死に至る可能性が十分にあります。
特に、前述した少女のように、虫歯菌が首から下まで運ばれてしまった場合、死亡率は20%と言われています。
口内には無数の神経と血管が通っているので、虫歯菌が血液と共に全身を巡ります。前述で紹介したとおり、実際に適切な虫歯治療を受けられなかったが故に、脳内に菌が回ってしまったり、敗血症で命を落とした少年少女がいます。ひどくなる前に手を打つことが、体全体の健康を守ることにもつながるのです。
虫歯を治して、全身疾患も予防を
健康的な生活を送る上で、口内環境の正常化は必要不可欠と言われています。たかが虫歯と思っていても、歯科で適切な治療を受けなければ悪化するばかり。虫歯が自然治癒することは、現代の医学ではあり得ません。
あなたの口内に潜んでいる虫歯菌も、ほうっておくと知らないところで猛威をふるうかもしれません……
あらゆる病気を防ぐためにも、定期的に歯科で口内環境のチェックを行い、適切な治療や受けて健康的な歯を保ちたいですね。
(編集・執筆:サムライト)