「食後すぐの歯磨き」はアリ?ナシ? 日本小児歯科学会が出した答えとは…!?

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あなたは普段、どんなタイミングで歯磨きをしていますか?
特に脂っこいものや味の濃いものを食べた後は、「すぐに歯を磨きたい!」と思う方も多いはず。お昼休みに職場のトイレで歯磨きをしたり、外出先で携帯用歯ブラシを持ち歩いたりする女性もよく見かけますよね。

しかし今、その歯磨きのタイミングを巡って、ちょっとした論争が巻き起こっています…。

浮上してきた「食後すぐの歯磨きはNG」説

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Photo by M Sundstrom

食べた後にはすぐに歯磨きをする人も多い一方で、「食後すぐの歯磨きはむしろ口内環境に悪い」という説もあることをご存知でしょうか?

食べ物の酸によって唾液の中和が起き、歯の外側にあるエナメル質が一時的に柔らかくなる。それが再び硬くなるのに、約30分かかる

という海外の研究内容を根拠に、食後すぐに歯磨きをするとエナメル質を削り落としてしまうと指摘する人が現れ、その意外性から「食後の歯磨きは30分経ってから」などという説が様々なメディアで紹介されるようになったのです。

情報が出回り始めたのは、約10年前

日本でこの説が注目され始めたのは、2006年頃からTVのバラエティ番組などが取り上げるようになってからです。中でもとりわけ効果が大きかったと思われるのは、2010年9月に放送された「ためしてガッテン」。NHKの放送で、信憑性があると感じた人も多かったのか、「食後すぐの歯磨きはNG」という認識が急速に世間に広がったようです。

この説は、「歯磨きは食後すぐにした方がいい」と信じてきた人々に、混乱をもたらしました。しかし、それは本当に正しい知識だったのでしょうか?

「食後歯磨きNG説」に対して、日本小児歯科学会は…

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Photo by makelessnoise

各メディアによって、あたかも「食後すぐの歯磨き=歯が溶ける」というような報道が次々と流れる世の中に警鐘を鳴らしたのは、日本小児歯科学会でした。

2012年に、公式ホームページにて「食後の歯磨きについて」というタイトルで見解を発表。この説は虫歯とは異なる「酸蝕症」の実験結果から考察された内容であり、普通の食生活をしている人には当てはまりにくい現象であるとの考えを表明しました。

「30分経ってから」などと気にする必要はなく、むしろ食後は早めに歯を磨いた方がいいと注意を促したのです。

なぜ「早めの歯磨き」がいいのか?

歯みがきをしないままでいると、歯垢中の細菌によって糖質が分解され酸が産生されて、歯が溶けだす脱灰が始まります。

日本小児歯科学会はこのように述べ、口内の歯垢と細菌を取り除く方が重要であるとの理由から、結論として食事の後は早めに歯磨きをする方がよいとしています。わざと歯磨きを遅らせることで、かえって多くの酸が口内で作り出されてしまう懸念があるためです。

ただ、例外があるとすれば、それはサイダーやコーラなどの炭酸飲料を飲んだ後。酸性のものを口に含んだ後は、歯の表面のエナメル質が一時的に柔らかくなり、普段よりも歯が傷つきやすい状態になります。この時はすぐに歯を磨くよりも、水や緑茶で口をゆすぐ程度にとどめておく方がいいようです。

※参考ページ:美容に良いあのフルーツも実は危険…?歯が溶ける「酸蝕歯」の恐怖

本当の「正しい歯磨き」とは?

Bryce Edwards

Photo by Bryce Edward

朝は「食前」の歯磨きがオススメ

「歯磨きはいつすればいいのか」という論争を見ると、食後ばかりに注目が集まっているようですが、実は朝は食前の歯磨きが大事だということを忘れてはいけません。なぜなら、就寝中は唾液量が減り、口内で細菌が増殖しているからです。

朝起きたらすぐに歯磨きをしてキレイにしておかないと、朝食と一緒に体の中に取り入れてしまうことになります。

1日で最も大切なのは、「就寝前」の歯磨き

前述のとおり、虫歯リスクが最も高まるのは就寝中です。寝ている間に増殖した細菌は、虫歯や歯周病の進行を促します。

そうしたトラブルを防ぐためには、寝る前にきちんとプラーク(歯垢)コントロールを行い、細菌の数を減らしておくことが大切です。フッ素配合の歯磨き粉を選び、夜はできるだけ丁寧にゆっくり歯磨きをする習慣をつけましょう。できれば10分、少なくとも5分以上のブラッシングが望ましいと言われています。

おわりに

Sherman Geronimo-Tan
Photo by Sherman Geronimo-Tan

日本小児科学会が警鐘を鳴らした後も、未だに「食後すぐの歯磨きはNG」という説はなくなっていません。自分の大切な歯を守るためには、こうした俗説に惑わされず、正しい知識を持って日々のオーラルケアを行うことが重要です。

また、歯を「いつ」磨くかという話ばかりに注目が集まり、「どうやって」磨くかが軽視されるようなことがあってはいけません。「何となくサッパリすればOK」という自己流の磨き方では、虫歯や歯周病のトラブルを防げない可能性もあります。この機会に、あなたも普段の歯磨きについて見つめ直してみてはいかがでしょうか。

 

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(編集・執筆:サムライト


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