■鈴木辰弥氏のプロフィール
1983年生まれ、東京都出身。幼い頃から美容に興味を持ち、メイクアップアーティストを志して19歳で渡仏。パリコレなどのファッションショーを中心にキャリアを構築。その後、日本人モデルのエージェンシーを経て、外国人モデルのエージェンシーへ。現在は外国人モデルのエージェントとして、世界中で活躍するモデルたちにウォーキング・ファッション・メイクなどの指導をしながら、スケジュール管理などのマネジメント業務を担当。所属は株式会社ズッカ。
世界中で活躍しているモデルと一緒に仕事をし、これまでに数多くの輝く女性たちを見てきた鈴木氏に、編集部が現役モデルたちの「美の秘訣」について伺ってきました!
モデルには、エステやジムに通う時間なんてない
―――モデルの仕事は華やかなイメージがありますが、実際はどんな世界なのでしょうか。
鈴木:私がエージェントとして接する外国人モデルたちは、とにかく忙しいんです。日本での契約期間は限られているので、滞在中は毎日何件ものオーディーションに連れて行って、どんどんお仕事を決めていきます。ちなみに、これが昨日のスケジュールなんですけど。
―――びっしり埋まっていますね。
鈴木:すごいでしょう。車で会場から会場へ、東京中を分刻みでどんどん回るんです。日によって変わりますが、1日に30件近いオーディションに参加することもありますね。
撮影の仕事が入ると、早朝5時半に集合して、終わるのが18時頃になる日もあります。仕事の後でも間に合うオーディションがあれば参加させるので、モデルたちは本当に大忙しです。みんな大体45〜60日くらいの契約で日本に来るんですけど、日本にいる間中、毎日その繰り返しですね。
―――聞いただけでも倒れてしまいそうなハードさです…。いつ休んでいるのですか?
鈴木:オーディションは企業が開催するので、基本的には企業が休みの土日はオフです。仕事が入っていない土日は、何時に連絡しても大抵みんな寝ていますよ(笑)
―――美しさをキープするために、頻繁にエステやジムに通ったりしているのかと思っていました。
鈴木:スケジュールが超多忙な上、生活も不規則なので、そういう特別なケアを行う時間的な余裕はないですね。エステやジムに行く子も中にはいますが、稀ですね。だから日本のファッションモデルたちとは、かなり事情が違うと思います。
「美」をつくるのは、小さな努力の積み重ね
―――特別なケアをしない代わりに、何かやっていることはあるのでしょうか?
鈴木:彼女たちは、日本での契約期間が終われば、次はパリに、その次はニューヨークに…と世界中を飛び回っています。だから、エステやジムに行くよりもどこでもできる手軽なエクササイズを日常生活に取り入れている子が多いですね。例えば、ヨガのDVDを観ながら実践してみたり、自重トレーニング(自分の体重を負荷にして行う筋トレ)をしてみたり。ジョギングをしている子も多いですね。ランニングシューズさえあればどこの国に行っても走れますし、体型維持や気分転換にもなりますから。
あと、サイドレッグレイズというエクササイズを知っていますか?腹筋や中臀筋(お尻の筋肉)などを鍛えられる筋トレ方法なんですが、お腹が引き締まっている子に秘訣を聞くと、結構このエクササイズをやっていますね。
―――休日に彼女たちが食べたらいけないものなど、決まりはありますか?
鈴木:「コレは食べたらダメ」という規定は特にありません。ただ、肌のキレイな子はチョコレートやドーナツとかは食べないですね。一緒に食事に行っても飲み物は水だし。2リットルのペットボトルを持ち歩いている子もいます。水を飲むと代謝は上がるし、肌も乾燥しないのでいいですよ。
―――なんだか、割と「普通」の話ですね。
そうなんですよ。体型を維持するために、彼女たちは何か特別なことをしているわけではなくて。やっているのは、本当に小さなことの積み重ねなんです。他にも、お腹いっぱいになったら食べるのをやめるとか、毎日鏡を見るとか。
サプリは飲まず、ヘルシーな食事が基本
―――美容に良いサプリを積極的に摂ったりしているのでしょうか?
鈴木:案外、モデルの子たちはサプリを使わないんですよ。普通に食べて動いている感じですかね。まあ、やっぱり野菜中心のヘルシーな食事が中心ですけど。
特に、自炊では意識してサラダを食べる子が多いですね。最近は、ベジタリアンのモデルもかなり増えました。撮影現場では、仕事の合間につまめるようにと軽食やスナック菓子が用意されることも多いんですが、代わりにサラダや果物を持参して食べている子もいます。ちなみに、移動中に食べるおやつには「枝豆」「ヨーグルト」が人気ですね。
―――枝豆は意外でした。でも、たしかにヘルシーですよね。
鈴木:それから、モデルと言っても普通の女性と同じように朝はバタバタするのですが、果物をスムージーにして摂っている子も多いです。
―――スムージーは、日本女性の間でも流行りましたよね。やっぱり美容にいいんですね。
鈴木:はい、スムージーは手軽にビタミンを補給できるのでオススメです。それに、ジュースと違って果肉ごと摂れるので、腹持ちも良いですよね。
―――そういう食事の献立は、エージェントが「これをやって」というよりは、個人個人が考えるのですか?
鈴木:はい、うちではそういう細かい指示までは出していないですね。入国時にはスリーサイズのチェックなどをするんですが、肌の調子やボディラインに問題なければ、自己管理ができている以上は何も言わないです。
―――実際、今まで入国時にNGだった人はいましたか?
鈴木:事前に聞いていたデータより、サイズが大きかった子はいましたね。あとは肌が荒れちゃってたり。でも、真面目にモデルの仕事に取り組んでいたら、常に完璧なコンディションでいるのは当然のこと。ライバルみんなが「スタイルが良い」「可愛い」中で、抜きん出て仕事を取ってくるのは簡単なことではないので。だからこそ本当に、毎日の積み重ねが大事なんです。
(つづく)
※後編では、モデルさんたちのダイエット方法やスキンケア、オーラルケアなどについて語っていただきます。お楽しみに!
▼後編はこちら
「他人に見られている意識」が美をつくる。鈴木辰弥氏が語る「世界美人」の日常(後編)
(編集・執筆:サムライト)